人のお世話が出来る人間になろう

家庭教師の経験より

私は現在、家庭教師で中学生の子供に数学と英語を教えさせて頂いている。多忙な毎日なので、週に1回程度である。毎月1万円以上の報酬も捨てがたいが、何よりも「他人を思いやる」訓練になる。

勉学も「自分が知る」のと「人に教える」のでは次元が全く違う。相手はこちらの思わぬ処で、出口の見つからない迷路に迷い込むこともある。「何故こんなことも分からないのか?」と言ってみても始まらない。試行錯誤し創意工夫しつつ、その人を出口まで案内するのが教師の役目であろう。当然、相手が何を知りたがっているのか、どうして欲しいのかを、相手に立場に立って考える必要がある。

個人主義という幻想

最近は「個人主義」と言われる。個人の能力や性格・意見を尊重するという意味では、望ましい傾向と言える。しかし、それが昂じて「自分のことしか考えられない」人間が増えてしまったことは、誠に残念である。人に迷惑をかけるのは論外としても、自分の快楽のみを追求する中では、人生の楽しさはどれだけあるのだろうか?

「生かされている」という認識の重要性

人間に限らずであるが、すべて生きとし生けるものは「生きている」のではなく「生かされている」ことを念頭に入れるべきである。それがあれば、他人を思いやる心や、他者に感謝し、報いる気持が自然と出て来るのではないか?

自分の働きかけによって相手に本気で感謝されたときの喜びは、他の何者にも変えられない充実感となるものである。