私が某おばさんと話をしていた。「人間なんて皆同じよ。湯川やアインシュタインだって、別に私にとってはどうってことない存在だから」とおっしゃった。私は「人間にはそれぞれ、天から与えられた能力を持っているのだ」と主張したが、結局議論は平行線をたどり、決裂に終わった。
私自身、その言葉の真の意味を理解できたわけではないし、字面だけ追って挙げ足をとるのは、相手にとって失礼だろう。確かに、人間の持つ能力をすべて平均化してしまえば同じになると思われる。それは、「天は二物を与えず」という諺からも明らかであろう。
しかし私は、敢えて「人間は同じであって同じでない」と言いたい。人間は、例外なく一人ひとり違う個性や能力を持っており、それを生かして社会貢献をするのが真のあり方であると思う。
ただし「違っている」ということは「優劣がある」とは異なることであることを明記しておきたい。能力の多少によって優劣はあっても、種類によって優劣を決めることは出来ないであろう。単に役割が違うだけなのだから。
人間はそういう意味で「天職に生きる」ことが大きな喜びの一つではないかと思う。先人の例を見ても、大きな業績を上げられた人はそういう人が多いのではないか。